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2009年8月22日 (土)

【映画】キャンディマン 感想(かなりネタバレ)

最近、あまり夏に怪談話をしなくなりました。

う~ん、昔はこの時期、酒を飲むたびに誰ともなく怪談話を始めたんですがねぇ……何故なんでしょう?。
アイスと同じで、旬という物がなくなったからなのかなぁ?と、と思ったり。

それはさておき、隠れたホラーの傑作と評判の高かった「キャンディマン」を観ました。
クライブ・パーカー原作のこの映画、なるほど、確かに傑作でした。
なぜなら、この映画のテーマは観る人によって大きく異なるからです。

ストーリーは、都市伝説を研究する主人公へレンが、「キャンディマン」という殺人鬼の怪物を追ううちに本当の「キャンディマン」に遭遇してしまい、「キャンディマン」によって連続殺人事件の犯人に仕立て上げられた挙句、都市伝説に取り込まれてしまう、というものです。

この手のストーリーは昔からよくある話なのですが、面白いのは、この話を都市伝説「キャンディマン」とヘレンの戦いの物語ととった場合、その勝敗をどう定義するかによってお話の意味は大きく変わってしまう点です。

1.キャンディマンの勝利と定義した場合
 前述の通り、ヘレンは「キャンディマン」によって連続殺人事件の凶悪犯の濡れ衣を被せられた挙句、「鏡の前で『ヘレン』と5回唱えると彼女がその姿を現して、唱えたものは殺されてしまう」という都市伝説の怪物にされてしまうわけです。単純にその点だけを捉えても、ヒロインが「生きて凶悪犯、死して怪物」という完全無欠の都市伝説アイドルにプロデュースされたという意味でキャンディマンの勝利だと言えましょう。(嫌な「アイドル・マスター」だな)
 また、「キャンディマン」という忘れかけられた都市伝説が、「ヘレン」と名を変えて今後も新たに人々の口に語られ続ける、つまり「キャンディマン」は新たな受肉を遂げ生命の延長が確定したわけですから、これは単純な勝利ではなく「キャンディマン」の完全勝利だとも言えます。
 しかし逆の見方をすれば、都市伝説の怪物達は、新たな媒体を経て姿を変えて語られ続けられないと死んでしまう、という過酷な運命を背負った存在だと言うこともできます。彼らは決して完全無欠でも無敵でもない存在なのです。人々の忘却に怯え、忘却されないように必死に営業活動をしなければならない存在なのです。
 生きていくためにはその時代に合った形にスタイルを変え、人々の口に語られ続けなければならない……現代だったら萌えキャラやツンデレキャラになってでも、そのスタイルだけは継承して人々の記憶に残らなければならない……都市伝説の怪物達も大変だなぁ、という意味に捉える事が出来ます。

2.ヘレンの勝利と定義した場合
 「キャンディマン」がヘレンを連続殺人事件の凶悪犯にプロデュースしようとした理由は、自分が「キャンディマン」になるきっかけになった愛しい女性に彼女がそっくりな顔で、同じ名前だった、という迷惑極まりない理由です。しかし、「キャンディマン」本人にしてみれば自分の型を継いだ都市伝説としてその名を語り継がれることで永遠の生を得る機会をプレゼントしているという善意と愛情からの行為なわけで、一連の行為は純情な彼の求愛行為だと言えます……嫌だなぁ。
 しかし、結局彼女は絶望的な状況に追い込まれて尚、彼の歪んだ愛情を拒みます。挙句、彼を拒んで火事からその身を火に焼かれてまで子供の命を救ったことで、犯罪史上には類を見ない凶悪犯として残るとしても、貧民窟の黒人達には無罪だと分かってもらえました。ストーカーのように執拗な愛情から逃れ、絶望的な力の差のある相手によって着せられた濡れ衣を見事に晴らした、という点で「人間という弱い種の持つ真の強さ」を証明して見せた彼女の勝利だと言えます。
 そして最後に彼女は「ヘレン」という名前を鏡で5回唱えると現れ唱えた相手を殺してしまう都市伝説の怪物になってしまうわけですが、「キャンディマン」という既存の怪物を人間の身で倒した上での都市伝説の怪物へのクラスチェンジですから、ある意味Dioより強いです。もはや「キャンディマン」は彼女に倒された、という肩書きを持つ存在でしかありません。彼女は新たな「神」になったのです。その意味で彼女の完全勝利でしょう。
 最後まで諦めずに自分を貫いた時、人は絶望的な状況でも絶対の戦力差を持つ相手にも勝つことが出来、それを成し遂げた者が「神」になることができる。この物語はそういう意味に捉える事が出来ます。

 これらの見方の他にも両者引き分けと定義した場合(その場合、私は「愛とは所詮報われないものだ」という意味に捉えますが)、僅差でどちらかの勝利と定義した場合等、戦いの結果をどう定義するかによってストーリーの意味は大きく変わります。

 また、ストーリーだけでなく、血が大量に飛び散りグロテスクなシーンも多いものの、同系統の映画に多い血やグロテスクのみに視聴者が恐怖を感じるようにするのではなく、映画全体にそこはかとなく漂う不気味な雰囲気に視聴者が恐怖を感じるように演出されている点。映画の所々に出てくる前衛的なビジュアルと古典的なビジュアルの融合。静的な導入部分→動の恐怖部分→悲しい欝展開→静かな決闘へと移り変わる見る人を飽きさせないシナリオ展開等、見るべき点が非常に多いです。
 もう夏も残り少ないですが、去り行く夏をホラーで締めたいという方は、是非観てみることをお勧めします

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コメント

昔の米国では黒人男性と白人女性の恋は認められなかったので、ある意味この映画も当時のアメリカ合衆国の社会をリアルに描いていると思います。

台湾でも民族の問題は複雑で厄介です。

投稿: 台湾人 | 2009年11月28日 (土) 01時06分

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